第004回「急性期治療」
三時間(発症から搬送されるまで二時間)以内なら、
rt-PAによる急性期治療が行われます。3時間以上を
経過すると別の治療法が施されます。
(第005回以降をお読みください)
日本では三時間ですが、ヨーロッパでは4時間半までなら、
rt-PAによる急性期治療が行われています。
日本も今後3時間から4時間半となると思われます。
あと、カテーテルも日々進化しているので、リスクの
高いrt-PAによる血栓除去ではなく、カテーテルによる
高度な血栓除去も確立していくかと思われます。
脳梗塞の前兆=「一過性脳虚血発作」
【transient ischemic attacks= TIA】
と呼ばれる症状があります。
一過性脳虚血発作とは、一時的に血栓が詰まり、
すぐに開通する為、数秒~24時間だけ、異変を
起こしますがすぐに治まる為、大した事が
ないと捉え、診察対策をせずに放置し、
やがて脳梗塞を発症するケースがあります。
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これらの症状に覚えがある方は脳神経外科、
目の場合は眼科や神経内科などへの診察をお薦めします。
●めまい(平衡障害)、手足のしびれ(感覚障害) 、
一時的な手足の麻痺、吐き気 、
複視(ものが二重に見える)、
頭痛(頭をハンマーで殴られているかの様な激痛) 、
耳鳴り、同名半盲(視野が不自然に欠ける症状)、
一過性黒内症(視野が黒いカーテンに覆われて
見え難い症状) 、感覚障害(半身のしびれなど)、
半身麻痺、構音障害
(舌の麻痺で声を発せない、発し難い)
失語(言いたい事があっても
思う様に伝えれない)など。
脳卒中<脳梗塞、くも膜下出血、
脳出血(については前兆症状が現れにくい)
の前兆も含めて書きました。
一過性脳虚血発作の場合、
血栓が時々詰まり、様々な異変を起こす症状なので
血栓が詰まっていない時にCTスキャンを
行うと見逃す場合があり、
一過性脳虚血発作の前兆現象に心当たりがある方は、
中心血圧の測定で的確な血圧を把握し、
(中心血圧の測定ができる 医療機関がない場合、
普通の血圧計で起きてすぐの血圧の
数値を測定し、高い場合注意です)食生活の見直し、
運動などで予防を行うと脳卒中を防ぐ事ができます。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
検査には数万円かかりますが、
脳卒中で片マヒが残ってしまうと
百万単位のお金を失う事になるので、
前兆に該当する場合、診察を推します。
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コメント
rt-PAは、血栓溶解療法の中では、動脈内投与に分類される療法ですね。
漫画の中にある、3時間~とはt-PA(静脈内投与)のことでは、ないでしょうか?
CT上早期虚血症状がない場合、出血がない、1/3MCAルール等があれば、静注で血栓溶解剤を投与できるようですね。(ガイドライン2007)
因みに、文中のrt-PAでは、脳卒中治療ガイドライン2004では発症後6時間以内に治療開始を推奨しているみたいです。
多分、t-PA適応外と判断され、angioで、血管内治療(rt-PAを含む)に移行されたんでしょうね。
投稿: 市民球場 | 2011年3月 5日 (土) 16時30分
ご指摘ありがとうございました!
実は割愛してますが、初診の先生(内科)に
「rt-PA」は三時間以内でしなければならないですが、
適応できるかは脳外神経科の先生が来るまで判断
できませんと説明を受けました。
その後、脳神経外科の先生がかけつけ、
CT画像を元に説明されましたが
「rt-PA」という単語は使用してません。
私たちに分かりやすく認識してもらう為
「血栓を溶かす魔法の薬」と表現されてましたが、
私はそれを「rt-PA」と誤認識してました(;´∀`)
ご指摘の通り、脳神経外科の先生によって
【t-PA】適応外と判断され、
angioで、血管内治療(【rt-PA】を含む)
に移行したという経緯です。
t-PAとrt-PAの違いが分かり、参考になりました。
漫画を作成するに辺り、状況、言葉を総括した為、
誤解を与える結果となり申し訳ないです。 <(_ _)>
投稿: ane | 2011年3月 6日 (日) 06時36分