第036回「神経細胞②」②/2
少年の話→第023回目「脳とリハビリ」
2009年12月28日追記
本日のネットニュースにて、こちらの記事を転載します。
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<大脳新皮質>
成体でも新たな神経細胞 日本の研究班発見
思考など高度な機能を担う脳の「大脳新皮質」で、
成体でも神経細胞が新たに作られることを、
藤田保健衛生大、京都大、東京農工大などの
研究チームがラットで見つけた。
成熟した個体では脳の神経細胞が増える
ことはないと長い間信じられ、論争が続いていた。
米科学誌「ネイチャー・ニューロサイエンス」
(電子版)に27日、掲載された。 近年、記憶に
関連する海馬や嗅(きゅう)覚(かく)を
つかさどる部位で神経細胞の新生が
確かめられたが、哺乳(ほにゅう)類などの
高等動物ほど発達している大脳新皮質に
ついては明確な報告がなかった。
藤田保健衛生大の大平耕司助教
(神経科学)らは、人間の30~40歳にあたる
生後6カ月のラットの大脳新皮質で、一番外側
の第1層に、分裂能力を示す
たんぱく質が発現した細胞を見つけた。
頸(けい)動脈を圧迫して脳への血流を
一時的に少なくしたところ、この細胞が
約1・5倍に増え、新しい細胞ができた。
新しい細胞は、形状から神経細胞と確認。
第1層から最深部の第6層まで
7~10日かけて移動する様子が観察できた。
このラットを新しい環境に置いて活動させた
ところ、新しい細胞が活発に働いている
ことも確かめた。
これらのことから、成体ラットの大脳新皮質
には、やがて神経細胞になる「前駆細胞」が
存在し、神経細胞が危機にさらされると
神経細胞が生み出されて働くと結論付けた。
チームは、ヒトでも同様の仕組みがあると
推測している。
神経細胞は興奮性と抑制性の両方が
バランスよく働いているが、この新しい
神経細胞は抑制性だった。大平助教は
「薬などで前駆細胞の働きを制御して抑制性
の神経細胞を作り出すことで、興奮性の
神経細胞が過剰に働くてんかんや、一部の
統合失調症の新たな治療法が見つかる
かもしれない」と話す。
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神経細胞について、中枢神経の細胞は
一度壊死すると新生される事はないと
いうのが定説でしたが、大平助教授の
研究チームによって大脳新皮質にやがて
神経細胞になる前駆細胞が確認され、
危機にさらされると、神経細胞が新生され、
活動すると結論付けられました。
つまり、脳卒中で脳細胞が壊死し、
身体機能の回復をする仕組みは
脳の可塑性によって、神経細胞が
正常な脳細胞に繋がっていき、失われた
機能を補うという考え方でしたが、
今回の研究結果により、中枢神経が損傷しても、
神経細胞が新生する事で身体機能の
自己修復がされるという事です。
今後は前駆細胞のコントロールをする事で、
神経細胞を作り出す研究が発展
すると脳卒中、脊髄損傷など、
新たな治療法が期待されます。
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